#01 紅白歌合戦
今年も紅白の季節がやってきた。
それぞれの歌手の曲も決まり、おぼろげながらも今年の全体像が見えてきた。
今年の目玉は何と言っても中島みゆきだろう。枕詞に「あの」と付くほどのインパクトだ。プロジェクトXのテーマ曲でのNHKへの貢献度を考えると、当然と言えば当然なのだろうが。
ではその中島みゆきの出場によって、凋落傾向にある紅白の視聴率が上がるのだろうか?答えはNOだ。意地の悪い見方ならば中島みゆきの出演シーンだけは上がるのかもしれないが、全体の視聴率に貢献することはないだろう。
確かに中島みゆきの曲はいいと思う。ただマスにアピールできるかと言うと、よっぽど「RAG FAIR」や「松浦亜弥」の方が見たいと思う人間の「数」は多いだろう。要はターゲット層の問題である。二十代以下には「誰?」状態であろうし、五十代以上も曲を聞けばああ、あの曲、と分かってもアーティストである中島みゆき本人の情報は「.....」だろう。
その補完として、ティーン層にアピールするアイドルやアーティスト、バンドが出演するのだし、年配へのアピールとして演歌勢が出演する。
しかし世代の断絶は予想以上に深いのでつながりが薄い。世代を繋ぐ歌と言えば、今年は「大きな古時計」と「ワダツミの木」が代表曲であろうが前者は(中島みゆき同様)どうも中継のようだし、後者に至っては出場辞退である。あとは「島唄」と「亜麻色の髪の乙女」ぐらいか。
少し前までは紅白と言えば御印篭のような存在だった。
皆が「出たい!」と思う前提があるからこそ、「本当に出られるのか?」と思わせるとんねるずが「この曲で紅白を狙います」と言うのがお笑いとして成立するのである。
今はどうだろうか。語弊を恐れずに言えば、「いいとものテレホンショッキングに出たい」と言うのと同レベルまでその威光は下がったような気がする。高視聴率を誇り威光がある時代ならば長髪を理由に紅白落選というのがニュースにもなった。要は「落とされた」歌手もいたのである。その後も「落とされる」ぐらいなら「こちらから辞退する」ということが反骨心をアピールしたりもした。
それでは節目回数でその年の出場歌手を見ていこう。
第31回(1980年)
初出場、松田聖子、八神純子、田原俊彦、クリスタルキングなど。
他には都はるみ、水前寺清子、三波春夫、五木ひろしなど。
第36回(1985年)
初出場、石川秀美、原田知世、吉川晃司、C-C-B、安全地帯など。
他には小柳ルミ子、川中美幸、小泉今日子、チェッカーズ、沢田研二、森進一など。
第41回(1990年)
初出場、Dreams Come True、宮沢りえ、BBクィーンズ、マルシア、伍代夏子、たま、長渕剛など。
他には中山美穂、青江三奈、和田アキ子、西田敏行、植木等、光GENJIなど。
第46回(1995年)
初出場、酒井法子、安室奈美恵、岡本真夜、田村直美、シャ乱Q、EAST END×YURI、小沢健二など。
他にはtrf、森口博子、中村美律子、坂本冬美、郷ひろみ、SMAP、吉幾三、北島三郎など。
そして時代は移り視聴率は下がっていった。60%(関東地区)の大台を切ったのが第37回(1986年)。歌手の選考基準もさることながら、ターゲットが分散して幅広くアピールする楽曲の減少もあるだろうし、大晦日の過ごし方の変化も大きな要因だろう。
だからと言って一部二部制の導入も根本的な解決にはなっていないのである。(一部二部制の導入年は第40回(1989年)、第39回が53.9%、第40回が一部38.5%・二部47.0%、第41回が一部30.6%・二部51.5%)
やはり小手先の変化では時代の変化を捉えることは難しいのである。
大なり小なり話題を提供している紅白が今年はどんな話題を提供してくれるのか。かく言う僕もまた見るかどうかは未定なのである。
(2002年12月19日)
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