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#02 小泉今日子


 こうやってキーボードで「こいずみきょうこ」と打つだけでも感慨深いものがある。
 ほぼ唯一と言っていい、大好きだったアイドル。しかもリアルタイム。今は時折化粧品のCMで見かける程度だが、お互い年を取った(笑)
 年末に三枚組のベストアルバムを買ったのがコイズミ再評価のきっかけだった。混じりっけなしのこれでもか状態でシングルを二枚で全て網羅して、残り一枚がレアトラックなどを収録したもの。曲によっては十四、五年振りに聞いたものもあり、懐かしさもひとしおとなった。遊び心も相変わらずでコイズミに引っ掛けて全「51」曲という。
 確か僕が小六の頃から好きで、毎年カレンダーを買っていた記憶がある。いわゆる初期の頃でアイドルアイドルしていた頃だ。水着もあり、キワドイ衣装もありで随分とのぼせ上がっていた気がする。
 初期の四〜五曲は70年代後半から80年代初期のいわゆる正統派アイドル路線を突っ走っていたコイズミ。コイズミ人気が高まるにつれ、作家陣も高名になってゆく。「ひとり街角」の作詞は三浦徳子、作曲は馬飼野康二。「まっ赤な女の子」で作詞・康珍化、作曲は大御所筒美京平。以後も御存知松本隆や高見沢俊彦、高橋研、秋元康、川村真澄、野村義男ら錚々たるメンバーがバックアップをしていた。
 このメンバーからも分かる通り、コイズミはあくまで(自分自身で納得の上)アイドルを楽しんで演じていたように思う。クオリティの高いポップスをアイドル・コイズミが歌うとこうなりますという徹底した演じ手としてのプロ意識を垣間見せるのだ。それ故に素顔のコイズミは余り表には出てこなかった。ヘビースモーカーで有名だったが、聞かれたらあっけらかんとして肯定するコイズミ。(但し初期はかなりアイドル所作を事務所から徹底されていたようだが)ラジオでのインタビューで、「芸能界に入ってなかったら何してた?」と言う問いに「(出身地の)厚木で普通のネーチャンしてた」と屈託なく答える。
 こういう言動を見聞きするうちに羨ましさが僕を包んだのもまた正直な感想だ。何故ならば最高の作り手たちが共同作業で一人の別人格であるアイドル小泉今日子を作り上げるのだ。一種の変身願望を期せずして叶えることになるのだから。
 ただ、そこにはギャップもあろうし、素人一般peopleには分からない苦労があるのだろう。大手故の事務所の縛りがもしかしたらあるのかもしれない。
 ただそれでも「変に」アーティスト然としていないのがいい。近い時期で言えば柏原芳恵やもっと時代が下って工藤静香は中島みゆきらの楽曲を歌う事で自己の地位を「アイドル」から脱皮させようとした。勿論否定する気はないし、良い楽曲もある。
 まあ歌唱力を秤にかけた場合コイズミにこの手法が合うかどうかの問題もあろうが、やろうと思えば出来たその手法を取らなかったコイズミに素直に敬意を表したい。
 その代わり、「Good Morninng - Call」からは作詞者としてほとんどにクレジットされている。この頃から自分の言葉でコイズミを表現し始めているのだ。作曲やアレンジには近田春夫や小林武史らの有名所を押さえつつ「月ひとしずく」では井上陽水や奥田民生らと組んでいる。
 何にせよ全てにコイズミ流なのである。あくまで自然に、軽やかに。同じナチュラルさを売っている某タレント(曰く腕時計をせず月をみて日にちを知る)よりもよほど自然である。背伸びせず、等身大のアイドル。果たしてどのような年の取り方をしていくのだろうか。

ここで個人的なベスト3を。
第3位「渚のはいから人魚」
第2位「優しい雨」
第1位「夜明けのMEW」

 御大筒美京平の作品はさすがにメロディーラインが良くどれも捨てがたいのだが、敢えてここでは外した。
 「渚のはいから人魚」はこの前後の「艶姿ナミダ娘」「迷宮のアンドローラ」「The Stardust Memory」と共に絶頂期を成功で収めたアイドル路線ド真ん中の中から。
 「優しい雨」は動と静のコイズミの静の部分を良く表しているように思う。若干歌唱力に難ありかな、とも思えるがこの歌詞とスローなテンポによく挑戦したなと思う。アレンジはシンセメインながら、AメロBメロは若干コードが押される程度の薄いアレンジ。その分コイズミの歌が中心になり難しいハズ。1回目のサビ後で少し盛り上がるがシンセのバッキングプラス女声コーラスで大仰ではない。ゆったりとした8ビートではあるが、メロディーライン中はバスドラの3拍目をわざと外して次の小節の頭のウラからシンコペ気味に打って緊張感を出している。
 「夜明けのMEW」は最初に聴いた時からイントロでKOされている。歌詞はアイドルギリギリか。夏の雰囲気がメロディーと相まっていい感じであると思う。ただ、作詞が秋元康というのが個人的には驚きではあるが。この曲は何しろイントロだ。フェードインで始まるのだが可聴域から4小節のシンセの白玉ですべては決まったも同然だろう。音色良し、テンポ良し、しかも白玉。この曲のスネアは「優しい雨」に比べてかなり重め。その分バスドラが可聴ギリギリでしかもベースとほぼユニゾンなので間違いそうだ。まあアイドル系の曲はドンシャリが多いので、低音はバスドラ、ベース共にユニゾンで音数を減らしつつ音圧を上げるのも致し方ないところか。


(2003年1月16日)



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