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#08 回る廻る


 先日、久しぶりに通りがかった店が変わっていて驚いた。
 その店は間口(道路に面した幅)が狭く元々の前の店もそう繁盛してはいなさそうだった。そしてそこが何に変わったかと言うと回転寿司である。回転寿司にも地場チェーン、全国チェーンのフランチャイズなど様々な形態があるのだが、それらに一貫しているのはどの店も間口を広く取っているということである。間口が広ければそこを窓にする。突き詰める店ならばその窓のところで客を待たせる。例えその窓の前の敷地が駐車場になっていても、人が入っていればすぐ分かる。少ない人間でも繁盛しているように見せるのは飲食店の鉄則である。だからファミレスのマニュアルでは、客を案内する場合、空いていれば必ず窓際に案内する。

 同じ飲食店でも何故回転寿司がそこに入ったのかを考えてみたが、明確な答えは思い浮かばなかった。その場所は郊外店というよりも中心部だから、考えられるとしたら回転で稼ぐ事ぐらいしか思い付かない。そこに回転寿司があると分かってさえいれば会社員やOLが昼休みに来るだろうというのを狙っているのか。

 今勤めている広告業界でもそうだが、特に前職の土木関係業界では、すぐに終わって利益が出る仕事を「手離れがいい」とか「足離れが早い」と言っていた。今の経済状況はデフレ真只中であるから、できればコストをかけずに利益を絞り出したい。そうなれば薄利多売を身上にしてなるべくコケずに自転車でまっしぐらに走るしかない。今や回転寿司もうどんやそばと同じ方法論を取っているのだろうか。

 旅行は増々「安近短」を突き詰め、レジャーはお金をかけずにアザラシ見物にでも出かける。牛丼に始まった値下げ競争はファーストフードに飛び火し、最大手ハンバーガーチェーンは社長交代の上、高級路線に揺れ戻し。ファミレスも人件費を切り詰めて値下げ路線まっしぐら。上記に書いたファミレスのマニュアルは、今は採用されていない店も多いらしい。バイトに最低限の教育しかしないから、「空いているお席にどうぞ」で終わる場合も多々ある。

 デフレは物の値段が下がるため錯覚し易いが、余り良い事ではない。物の値段が下がっても、給料も目減りしているので、可処分所得はそう変わっていないのだ。
 一体いつまで景気はデフレスパイラルを繰り返し、日本は回転寿司のように廻り続けなければいけないのだろう。値段が安いならうどんやそばや回転寿司で胃袋にかっ込んでもいい。でもたまには話に花を咲かせながらゆっくりと食事を楽しみたいと思う。
 願わくは、廻り続けて最終的に倒れてしまう独楽のように日本がならないことを。


(2003年6月10日)



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