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#12 入金完了未だ至らず
事件に大きいも小さいもない、とは例のドラマの中での台詞だが、営業の僕的にはクライアントに大きいも小さいもない、と言ったところだろうか。
しかし、この御時世になるとやはり体力の少ないところは苦しいのだろう、僕の担当で入金が滞っているところが一件ある。法人ではなく、個人で行政書士事務所を経営しているところで、一番古い請求書は昨年の10月付けだから、半年はゆうに越えている。
最初は両手を合わせて拝み倒す。
こちらが日にちを指定して連絡しても「今外だから」と切られる。
全額一括は無理だから分割にしてもいいかと訊ねる。
相手をするこちらも段々頭に血が昇ってキレそうになるのだが、集金はキレたら負けである。どうにか払ってもらわねばならない。与信を出したのはこちらだし(無理そうなら最初から仕事をしなければ良いだけだから)なだめてすかして集金に向かう。
そのうちに風物詩のようになってきて、「近くを通りましたから」とお約束のフレーズで顔を出す。勿論フラフラと寄った訳はなく、そこを目指して訪問しているのだけれど。まあ言質を取ったところで言った言わないの話になることも多々あるのだが、とにかく払うという言質を取らなければならない。
汗かきながら訪問しても不在の時も勿論ある。そう言う時には「ああやっぱり大手っていいなあ」と思うこともある。誰でも知っている有名企業が何社かクライアントにいるが、入金が遅れたことは当然ながら一度もない。それ自体が信用となるからだ。火のないところに何とやら、と言うが「危ない」という噂は大体そういう所から上がるものだ。
でも気を取り直し、最後までしっかりしなきゃと僕は今日も向かうのだ。営業の仕事は入金完了するまでが仕事なのだ、と散々教えられたし、自分のケツは最後まで自分で拭かなきゃカッコ悪いしね。
そして今日の段階でどうにか残金15万弱まで減った。先は長いがやるしかない。
(2003年8月5日)
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