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巻ノ三
 
 〜確かに僕は見た
 海原はこんな色かと問ふ声に波間に浮かぶ顔を塗り消す
 
 〜かくも明るい月光り
 馬は往く隊商道の平原を影は砂々彼方の満月
 
 〜月刊「短歌研究」2002年4月号うたう☆クラブ掲載歌
 降りすさぶ雪に映えゆく赤い玉想い込めしか柊の実は
 
 〜春は花
 久方の花染め下ろす絹々の纏いて歩む木々を天つを
 
 〜静かな野原で
 野に入りて見つけし花の懐かしきにほひは空に漂ひ覚ゆ
 
 〜さてもさても
 山の花折りて何処に供ふらむ背に見えし数如何で知らねど
 
 〜泣き声はこだまする
 母君のにほひを胸に山に入る雪深き空赤子のやうに
 
 〜太宰府の声を聞け
 故ありて月見し涙飽きもせで魂魄あらずや遠の朝廷に
 
 〜白き雪
 ゆきてこそ取らめ香具楽の白髪をされど積もらす冬の風かな
 
 〜柔らかな声ほど厳しさを包み
 ゆめゆめと夢に念押す声あらむあなやゆめゆめゆめゆめ申さじ
 
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