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巻ノ六
 
 〜声なき声
 亡き君の泣き声だけがこだまする我を怨むかざわめく木々は
 
 〜するりと泳ぐ
 水をわけ進む体躯はなまめかし横を過ぎるは黒い流線
 
 〜頑張れ
 懸命に泳ぎ続ける少年ははるか昔の我の残影
 
 〜南からくる台風は
 風は鳴き白い手だけを首筋に伸ばしたくらむ永久の別れを
 
 〜初夏に伸びゆく蓮の葉は
 高貴な葉触れて映らむひととせを道なき道を示せよ蓮よ
 
 〜全自動で突く寺の鐘
 夕暮れに響くは寺の鐘の音自動の響きに風情あらむや
 
 〜お前は誰だ
 醜悪な瞳を映す手鏡に暗く笑うは無論我なり
 
 〜座して待つは
 足元に寄するは黒き細き影満つるを待つか凍える心
 
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